NHKスペシャル:人工知能 天使か悪魔か2017

電王戦佐藤名人との対局で叩きのめされる場面から始まる。

AIの社会進出の説明。
名古屋のタクシー会社の事例。初心者ドライバが、システムの指示通りに車を走らせると、乗車数が2割もあがる。シンガポールでは、事故が起きる可能性が高いドライバーを事前に見つけ出し、再教育をはかるという紹介。

AI棋士・PONANZA(山本一也 31歳)は2013年に登場して以来、将棋界では負けしらず。PONANZAは過去20年の対局棋譜を5万曲を機械学習させた。

佐藤名人とのPONANZA第1手は、38金。人間では絶対に打たない手を打ってきた。
人間側の常識では絶対に行わない手を打つPONANZA。10手進んだときに「中住まい」で強固な陣営を作りあげた。

人間には思いつかない、独創的な手を打ち込んでくる。

自己対戦で700万局を学習させたという。
人間が1年3000局対戦をしても20年以上かかる対局を学習しおわっている。
羽生名人が仰るには、この対局の一部しか知らないのではないかという。

全国24万台走行するタクシー、名古屋のタクシー会社の紹介映像になる。
名古屋地区を500m区切り、各マスの上に到着人数が現れる。
どの道をどの方向に進むと客を拾う可能性が高いかを、画面に表示する。
普段は通らない道を入ると、予測が的中し、お客さんをすぐに捕まえることができた。

あたかも、天空の目がお客様の位置を教えているようにみえる。
DOCOMOが開発、携帯の位置情報+タクシー会社の乗降記録(1900人分運転手の1年間データ)さらに、天気と曜日によって乗り方がどう変わるかも予測する。
過去のデータよりも、いまの携帯数が多いマスならば、お客様が待っている可能性が高くなる。予測の精度は95%まであげられる。

次いで、金融部門に話がおよぶ。

東証売買の8割が計算機による自動売買。年金の機関投資家の運用をすべて計算機に任せている。野村証券のトレーダーはもはや不要という。野村証券AI導入担当 原田大資さん。株価予測システムは銘柄ごとに5分後の株価を予測する。
東証500銘柄の過去1年間の動き(1ミリ秒単位)と売買データを学習済み。
人間がアクションを取っている間に売買は終了していることになる。
ここでも、将棋同様に、すでに機械VS機械の対戦となっている。

佐藤名人は8手先を見越した手を打つも、PONANZAは一見失敗(相手にみすみす取らせる)したように見えるも、そのうち手ゆえに、PONANZAは見抜いて勝利を納める。

人間が直感で捨ててしまうはずの手をPONAZAエンジン内部は情報として獲得していることになる。人間を超えた動きができるPONAZAの内部構造を、開発者も説明することができないという。なんでここまで強くなるのか、わからなくなってきている。

まさにここが、人に恐怖を与える瞬間であり、AIの怖さに通じる。
人知を超えた知性らしきものを、内部構造に蓄えているように結果として見えるからだ。まさにブラックボックス。答えを示すが、理由は示さないAI.

次いで、アメリカでの再犯罪予測システムに映像が切り替わる。
カルフォルニア裁判所に再犯率予測システムが導入され、どんな傾向のある人が再犯するかを予想する。人の特性・行動パターンなどを学習させてあり、被告の人種、仕事、育成環境などの情報を与えると再犯率が割り出される。再犯率が10%低下し、刑務所のコスト削減につながった。AIが人を判定し、AIが人の運命を決めている。AIが人生を判定するという時代。

日本ではAIが企業の社員を評価する取組がはじまった。医療事務の人材を送りだす会社(ソラスト)では、退職率を下げることが大事という。社員の個別面談を繰り返すも、退職する人を面談では見抜くことができない。社員の表す面談の文章から、退職する可能性のある予兆を見つけて、管理側に伝える。
満足度は4と高いものの、本人が表したたったの2行から予兆があると判断をした。
学習エンジンは、半年間の面談文と退職者。

キーは分解された単語と順番らしい、人間では見抜くことができないパターンを学習している。ここでも退職の理由を提示せず、退職する可能性があると伝える。

「教師データのなかの特徴を捉えるチカラ」は、人間では全く及ばない印象である。
膨大なデータが揃いさえすれば、そのなかから特徴・特性を見抜く能力は計算機のほうが高いことをあらわしている。

次に韓国のAI国家戦略。国家運営に導入しようと計画されている。
「グローバル リーダーズ フォーラム」でAI政治家の発表した。
人工知能に最適予算を配分させようとしている。

人工知能研究所・ベン・ゲーツェル博士は自身が開発したロボットをAI政治家に育てようとしており、世界各国の憲法・法律・国防・最新の経済政策、ネット上の世論などを読み込ませ、5年後の実用化を目指している。政策提言の1つとして提案させ、国民が判断する方式をとる。将来は国民と直接対話を行わせたいとも。

前のブログでも書いたように、「2029年に計算機は一人の脳の計算パワーを抜き、2045年には全人類の10億倍の計算資源に達する」ので、人は計算機が発する内容に従わざるを得なくなるだろうし、そのほうが(幸か不幸か)総じて幸せだったといえる人生になる可能性が高い。(AIの暴走論は横においておく)


経産省資料「新産業構造ビジョン」(案)~第4次産業革命をリードする日本の戦略~

第2回シンギュラリティサロンのウェブサイトから、経産省の2030年代に目指す新産業論に関する資料を読んでいる。産業構造が大きく転換し、稼ぎ頭の企業があっという間に後ずさりしてしまう中、優位なポジションを創り出すために、何をなすべきか、経産省のお考えに触れることができた。

「新産業構造ビジョン」(案)~第4次産業革命をリードする日本の戦略~ 平成29年1月現在

資料は188ページにも及ぶ。かなりのボリュームである。これから20~30年の間に、日本はどのように売上、利益を出すと、国家としてお考えなのか理解したいと思っている。海外のプラットフォームビジネス企業の下請け化することだけは避けねばならない。機械とソフトウエアが国内の単純労働を代価していくことは避けるべきだろうか、人口減少時代に人に変わってさらに効率的に行われる部分は、機械化しかないだろう。以前ブログに表したように減少する人口1000万人を、100万台(仮)のロボットでまかなえる方法が見つかればよいことになる。

とりわけ175ページから始まる、就業構造転換のポイントの資料あたりから意見をくみ取れる。定額・定型の保険商品の販売員、スーパーのレジ係、大衆飲食店の店員、中低級ホテルの客室係、コールセンター、銀行窓口、倉庫作業員、経理・人事部門、データ入力係は、機械システムによって変わっていくことが想定されている。さらに、IoTサービスで見守るというよりも、家庭に、掃除・洗濯・料理を代行する家政婦ロボットをお買い求めいただき、サービスを提供するとしたら、倫理文化問題はあるにせよ、活用されるのではないか。人が日々行っている作業を変わって、黙々と対応してくれるロボットが現れないだろうか。

個人の多様な行動から様々なデータを集める動きがあり、データの囲い込みが一層進む段階にあるが、アマゾンのアレクサを見ても、いまだ米国主導である。そのデータをいかに利活用するかの制度・ルールも未熟であるため、これから個人データの扱い、扱われ方には注意を要する。個人情報保護法の改正

 


機械学習の課題

機械学習における静止画の識別は、人の能力を超えた分類をするようになった。2010年ころからの話なので、5年程度の時間で達成されたことになる。

将棋のプロ棋士を打ち破り、頂上決戦を期待したが、計算機の性能向上の観点から、おそらく実力が上回ることが確定したのか、決戦はおこなわれていない。

そうこうして、2016年春に囲碁の世界で、トップ韓国人棋士と対決が行われることになった。計算機が4勝、プロは1勝という結果となった。結果もさることながら、この時間軸の前倒し感に驚くばかりだ。囲碁の探索空間は、将棋盤面の比ではない。チェスは10の120乗、将棋は10の220乗、囲碁は10の360乗といわれる。チェスは1997年にディープブルーがやぶり、将棋は2013年にプロが敗れた、そのあとたった数年で囲碁プロが敗れた。囲碁は10年はかかるという見通しであったにもかかわらずである。

計算機の速度向上と、機械学習、おそるべし。

医療分野の画像診断でも、肺がんなど医師でも見つけにくい領域を探してだしてくるようになった。ここ数日のニュースでは、大量の判例を覚えている計算機ROSSが弁護士のアシスタント作業をこなす。

人工知能弁護士ROSS

人工知能弁護士ROSS

ただ、まだまだ改良の余地がある。時間軸の扱いについてである。動画をミリセカンド、ナノセカンド秒単位の静止画として扱うと、現在の計算機ではそのデータ量をそのまま扱うことができないのではないか。問題の設定にもよると思うが、時系列データ・波形データを、データ構造を明示することなく、計算機に入力して、精度よく出力を得られる数学的なモデルが出て、計算機に実装されたとき、いよいよ真に人にとって、有効なサービスが次々と生み出されてくると思う。

動画のなかから瞬時に特徴点を自動で発見したり、音声データからの特徴検出などもいとも簡単に行われるようになり、うまく活用することが、人間側として求められるのだろう。

いずれにしても日々進化していくこの業界、追いつくだけでも大変である。世界中の優秀な人間がしのぎを削っているわけであり、いずれ73億人のたったの1億人しか日本人はいないのだから。


変わらなければ、替えられてしまう時代へ

いまは、変化の速すぎる時代である。世界中で同時多発的に新しい物事が生み出されるようになった。ムーア則に引っ張られて、世界中、いたるところで、指数関数的な成長が見られる。この右上がりの成長は、直線的な成長で考えていては、全く追いつけない世界である。私見ではあるが、従来はこの直線的な成長を前提にして、物事を決めてきたように思うが、これからは、それを許さない状態になってしまっているように感じる。

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『シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法 ビジネスを指数関数的に成長させる』から抜粋

そんなこと言われても、そんなに変われないよとか、変わることに抵抗したりするのは、人のこころの常であるとは思う(わたしものその部類のひとり)のだが、どうもその前提条件が変わってしまったと思わざるを得ない。シャープ、東芝がかくもなろうと、ユニコーン(Airbnb, Uber )の台頭の台頭を誰が予測し得たことだろうか。変わらなければ、替えられてしまう時代に、いやがおうでもなってしまった。企業は余力があるうちに、新たな投資ができるうちに、この変わり目に沿った動きをしておかなければならない。

しかしながら、この日本では、まだゆっくりとしているようだ。近いうちに、このスピードは恐ろしいほど早くなり(何しろ冪乗の世界である、私たちはいまその端緒に着いたばかりで、線形のなかで教えを乞うてきたわけで、分かるわけもないが)、わたしたち日本社会にも効いてくると思っている。未来予測や何がどうなると細かく予言することはできないが、日ましに変化のスピードとして現れ、業界地図をあっという間に塗り替えてしまう予感がする。


斎藤元章氏のエクサスケールの衝撃を読了、素晴すぎる本。

エクサスケールの衝撃を読んだ、まず、この本は、文句なく素晴らしい。斎藤元章氏の視座の高さ、深い洞察力に感服した。本当に良い本に巡り合えた。彼はエクサスケールコンピューティングを作る会社の社長であり、内に秘めた革命家だなと思った。

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AE%E8%A1%9D%E6%92%83-%E9%BD%8A%E8%97%A4-%E5%85%83%E7%AB%A0-y/dp/4569818927

エクサスケール・コンピューティングが実現した暁には、世の中がこんなに良くなるという話が、色々な角度から説明がなされ、どれもそうだとうなづきながら読み進めることができた。著者と同年代なのもあって、育った時代背景が似ているところも親近感が湧く。ただ、時代の先を読むちからでは、わたしでは到底及ばない、尊敬に値すると人物だと感心した。

最近いろいろなところで、バラ色の未来を語る人が増えてきているように感じる。すべてがフリー化する未来がおとずれるという話である。本書も、エネルギーフリーとなり、衣食住も完全にフリー化すると説いている。本当に、生活のために働かなくてもよい時代になるのだろうか。確かに、3世代前位と比較してみると、生きるということ、すべてが簡単に楽になったと思えるし、今後3世代もたつと、著者のいうような世界が訪れるのかもしれない。お金すら、価値がなくなってしまうのだろうか。(本の中で、電子化された紙幣が、その人を見て価値を変えるくだりもある)、資本経済はどうなってしまうだろう。もしそうならば、まさに、新しい価値観に基づいた文化・文明が起きてしまうだろう。

シンギラティが2045年に起きると云われるが、2030年にもその前特異点が訪れるという。もう5年、10年もすると、そうした世界観の片りんが見え隠れしてくるだろう。現時点でも、機械学習のスピードおよび学習エンジンに基づくロボットの作業スピードは、もはや人間ができることを遥かに超えた部分も出てきた。単純な労働作業は置き換わり、データに基づく診断業務も、もはや機械学習による結果のほうが優れた事例もあらわれている。

億単位の大量データを並列計算で瞬時に学習するエンジンが至るところで作動し始めるようになれば、人の実行スピードが、ボトルネックとなるので、ひとを介在させないほうがいいし、ひとがサービスを実行する意義がなくなる。一方で、仕事がなくなることを恐れる話が出るが、全てがフリー化してまえば、働いてその対価を得る必要もなくなる。そして、計算機のなかで、重大な病気が分子レベルで解明され、不老の身体を得られるならば、悪いことはないと思えてくる。

そうなると、これまでの国家・文化・芸術・精神性なども、大きく方向転換していかざるをえない気がする。その転換にたいして、最初は抵抗したり、法律でも守ろうとするだろうが、それもいろいろな比較から、護る意味すら、すぐになくなることに気づかせられるだろうと思う。

人が仕事から解放されたら、私たちは余った時間で、何をするだろうか。そんな時代に生きていることを幸運と思うのか、大きな転換についていけず、苦しむのか、いまの、わたしにはわからない。世界中で、同時多発的に、変革が起こることは容易に想像できるので、とにかく目前に迫ってきているように思う。せいぜい、そうなったとしても驚かないよう、いまから心の準備が必要だと思う。