ウェブビジネス 1勝9敗

8年前、2006年に会社を立ち上げたとき、まだ動画配信や、携帯動画配信も、まともなサービスはありませんでした。

ネットで動画配信サービスをやってみようと思って、携帯動画配信サービスも立ち上げた矢先に、YOUTUBE, GYAOが現れて、一瞬で追いつき、追い越されて、ほぼ瞬殺されました。

YOUTUBEは、友人の結婚式のパーティを撮影した動画を投稿して皆に見せたいというシンプルな発想から、立ち上がった会社だったようです。ただ、あれよ、あれよという間に拡大をしていく様は、正直驚きとともに、うちとは根本的にスピードも、社会からの受け入れ方も、違いすぎるということをまざまざと魅せつけられて、同じモデルを続けても駄目だと記憶しています。

ただ、ウェブサイトを作りたいという方は、たくさんいらっしゃいました。ウェブサイトをつかって、こういうことをやりたいんだというニーズをぶつけてこられる方からご依頼が多々ありまして、これらを少しずつお請けしてきました。

ちょうどその前後から、SEO、SEMの言葉が、広まりだしたように思います。

使いやすいウェブ、綺麗なウェブを作ることに、力を注いできました。

ただ、サイトを作るだけでは、森の中の一軒家になってしまうので、どなたも訪れないし、そもそも存在すら知らないということになってしまいます。

そこで、どうやって見てもらえるようにするか、訪問者数を上げるか、さらには、お問い合わせが増えるかということに、クライアントの興味は移っていきました。

見て貰えないサイトでは困るんです、見込み客がどんどん押し寄せる方法がありますという営業トークを繰り広げていたSEO会社が、たくさん現れました。月額30万円で1年契約を頂ければ、御社のサイトは、グーグル検索結果で、1位が取れますからという常套文句です。

SEO業者から出てくるコンサル結果は、御社がお作りにあったあのサイトのダメだしリストでした。

クライアントは反響が欲しいわけですから、検索エンジンで1位取るためにサイトが求められるのは、これですという100項目修正リストに対して、クライアントは対応するより他はないので、当然サイト作った当社へ依頼が届きます。

問題はここから複雑化します。

ウェブサイトを作る→とりあえず満足→反響がない→広告が重要だと気づく→SEO業者が蘊蓄を語る→予算の使い切り→制作費は使ってしまったので、直して欲しい。

ウェブサイトのジレンマ

ウェブサイトのジレンマ

当時、サイトを作るのこと仕事であった私たちは、当然ながら、SEO業者とは仲良くはなれませんでした。

SEO業者がうまかったのは、サイトを作る部分には口を出さず、サイト構築業者を担いで、修正をやらせたところにあると思います。そして、検索エンジンの上位表示されたときには、彼らの能力がさもあるかのような喧伝をされていたときには、正直憤りを感じたものです。

検索エンジンの詳細なロジックを理解しない若いにわかSEOコンサルタントが、さもありなんという感じで修正リストを提出していたように思います。

当時で、毎月30万円もクライアントはお支払いするので、当然結果を求められるわけですが、似たようなサイトが乱立するなかで、必ずしも上位表示ができない場合もあり、SEO業者は少しずつ淘汰されていきました。

こうして、にわかSEOコンサルタントは消失していきました。

次に現れたのが、成果報酬型SEOでした。初期費用は一切頂きません。ただし、私たちがお伝えしたことによって、上位表示ができたならば、そのときに1位で10万、2位で5万円お支払い下さいという内容でした。これも、グーグル社のアルゴリズムの変更(パンダ・アップデートの被害は多大にあったらしい)などもあり、こういった業者も必ずしも成果をコンスタントに出せるものではなくなりました。

こうして見ると、つねにグーグル社が、真ん中にいて、ビジネスを主導しており、SEO業者は、ぽっと咲いたあだ花という感じのようにすら見受けられます。

そのなかで、私たちの戦略は、こうでした。

最初は、SEO業者の言うことを素直に聴くようにしていました。へえ、そうなんですね、なるほどですねということで、そのノウハウをもとに、私たちのサイトの作りこみかたを、ブラッシュアップしていきました。つまり、SEO業者のノウハウを、自社のノウハウ化していくという方法です。

そのうちに、当社のウェブ制作チームは、グーグルが好きなサイトの作りこみを、自然とできるようになりました。SEOのノウハウが知見として溜まっていったのだと思います。その結果、SEO業者がなんだかんだと言う理由が少しずつなくなり、最初からSEO好みのサイトを作り出せるようになってきたようです。

華やかにぱっと時流に乗っかって対応する部分と、コツコツと知見・経験を積み上げる部分が、複雑に絡み合い、ITの技術スピードの進歩にも翻弄されながらも、付加価値を付けられるサービスを追求、提供し続けていければ良いのです。

時代の先を読むセンス・能力が高ければ、いまの時代にパッと乗ることは、いつでも可能なのかもしれない。ただ、いまだ私たちは、そのパッと乗ることができないでいるが、これからもコツコツと日々進化するIT技術を自分に身に着けて、それを活用したウェブサイトを作り続けるだろう。