集客ストーリ ネット vs テレビ

誰もが、ウェブサイトの訪問者数を上げたいと思っている。またお問い合わせを増やしたいと思っている。

しかしながら、インターネットでは認知をさせる仕組みが弱く、サイトに訪れる人をテレビのように大きく増やせるわけではない。

ネット広告効果は、マスメディア、とくにテレビには、まだ敵わないというのが実情で、テレビとネットで、その効果が違うため、使い分けが必要だと思っている。

テレビ広告費は、ネット広告費*2倍以上程度ある。

1%100万人がおよそ10万円として、1名あたり0.1円計算となる。

もちろん、何回にも分けて放送されるはずだから、例えば20GRP(視聴率総和)ならば、放送だけで200万となる。これに制作費やタレント費用などが乗れば、数千万の費用がかかる。

          視聴率             全国            関東            近畿       千人
1% 1180 380 190
5% 5900 1900 950
10% 11800 3800 1900
15% 17700 5700 2850
20% 118000 38000 19000

一人に見てもらうコストが0.1円というのは、正直いえば、安いと思われた方も多いだろう。

この数字と比べてみて、ネット広告は比較優位性があるのだろうか。

ネット広告は、来場者数からバナー単価を決めるし、検索エンジン広告では、ワンクリックあたり、10円程度から始められるといっても、実際は競合が現れればすぐに100円付近まで届いてしまうし、さらに高い広告では1000円以上になってしまうケースもあり、割高に感じてしまう。

1GRP10万人のうち、0.1%が広告を見た方が数日のうちに、実店舗に出向き、500円の商品を購買したとすると、売上は1000人×500円=50万円となる。15回CMで750万円、これが訴求率の高いCMのおかげで、0.2%ならば1500万円、0.3%なら2250万円になる。

仮に、ネットが、数日という短期間に、数千人もの販売に繋げられるかといえば、テレビと比べてどうだろうかといった感じがする。

話を単純化してしまった感はあるが、ようするにこのあたりのそれぞれの数字や率をどのように設計に落とし込めるのかが、マーケティング担当者、広告マンの腕の見せ所になるのだと思う。

それでも、何時、どこから見られたかなどの効果を測定しやすいことや、1日あたりの料金を制限できるため、広告費を多くはかけることができない中小企業向けの広告といえる。

単純に、広告予算により、どこの広告を利用するか、単純に棲み分けが行われているのが現実だろう。

テレビ広告は高いというならば、たとえば、ネットから20文字程度の文章を入稿してもらい、テレビ画面の1行だけ、安価に流せる仕組みを販売したらどうなるか。こうした安価なモデルをテレビが提供するかは不明である。地方局ではすでに対応されているとも聞く。ただ、広告を小さく切りうる手法で、テレビ局側の儲けが増えるのかは不明だし、小規模な広告を集めたところで、売上も微々たるものだということであれば、今のテレビ局側の構造はできるだけ変えないほうがいいという当然の結論だと思う。

ネットは、一度に100万人規模に見てもらえる仕組みがないので、現時点では、テレビのように認知力で優ることはできない。ただ、ネットでは直接販売ができるので、これまで以上にECや販売手法と強く結びついていくと思われる。

一方、企業は、広告の予算枠に応じて、売上につながるストーリが欲しい。どのメディアをどの順序に出していければ、売上が右肩あがりにあがっていくのかを知りたい。そういう意味で、広告マンは今の広告がそれぞれどのくらい反響があるかを身をもって知っておく必要がある。もちろん、まずは会社のブランドを知ってもらうという場合もあろうが、そのブランディングストーリはまた別の課題となる。

いろいろな条件が複雑に絡みあうので、これでいけますという明確なストーリを言い切れるものでもないが、当社としては、まずは検索エンジン広告(SEM)とSEOの組み合わせを行い、様々なサイトと少しずつ連携を強化していくという提案をしている。過去には、テレビに取り上げてもらったことでPV数が跳ね、お問い合わせも増えた経験をした。そうなるためには、まずはみなに受けいれやすい商品・サービスであることは前提となるけれども。