水野裕識(みずのひろのり)です。経産省が昨年から語り始めている「2025年の崖」についてと、その克服方法について考えを巡らせています。
従来の保守業務で7~9割の予算が取られて、新しいITサービスに振り分けられる予算が1-3割しか出せないそうだ。古くなる一方のシステムのなかで、新しいことをシステムに問い入れる開発も行えなくなってきている。さらに(数字の根拠は分からない)年間12兆円が溝に捨てられてしまっているようである。
開発SIerたちも、年を取って引退する。その時のドキュメントが整備されない、保守金額が縮退すれば、ノウハウの引継ぎも行われない。後進者も、中身を理解できず、システムに手を出せなくなる。
本来なら正常に動いている範囲において、社内でITの打ち手を考えられる人を育成をして、次の展開を提案できる人を育てるべきなのであるが、日本の会社はITをコストと見做す傾向があって、会社の傍流であって、本流にはなりえないようだ。しかし、経営はシステムと一体となって行われるべきという理解が深く浸透してないなかでシステム投資を決断せざるをえなくて、SIerに丸投げとなりがちである。そうして、請けたSIerも、多重請負派遣の事業構造に組み込まれて、身動きが取れなくなっており、日本IT技術者は、この20-30年ほど、夢も希望もない状態となっている。本来は、社長直下に会社DX企画推進部があり、経営責任を伴う形で、DX部が全部を掌握して進めるというスタイルだと思うが、もちろんそんな部署はありゃしません。
法のDXにより2025年までに最新のITに変貌を遂げられば、2030年にはGDPが年間130兆円押し上げられるとのことで、日本全体でDXに取り組もうというスローガンとその手法について主張が進められている。
たしかに、この10年でオンプレからクラウドへの流れは加速してきた。2010年頃に初めてクラウドを触れて、実際に使えるなと思えたがその1-2年後であった。瞬く間に社内から、少しずつオンプレサーバは消えた。レガシーサーバが、社内のサーバルームにLED点滅しているのが安心なんだという、レガシーSEも少なくなってきた。そりゃそうだ、基盤はクラウド会社で最新の状態に整備されているから。
話が少し脱線してしまったが、仮に日本全体で社内システムがDXにより刷新されたとすると、保守負担分が低下して、新しい戦略・道しるべが見えてくるのだろうか。DXが進むとすると、一番それが大事なはずだ。経理面からみれば、5年ごとのオンプレ資産償却と、クラウド対応費はどちらが安くなるのか、オンプレ資産を社内に有する危機管理(電源管理、セキュリティ、BCPなど)をどう判断すべきか。こういう総合的な判断を踏まえて、DXへシフトしていくべきで、当社はその対応の相談にも乗らせて頂いている。
DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~
の資料にある3章が、日本の未来を救うDX対応指針とのことである。これから、来るべきDXに向き合うために、じっくりと読みすすめ、理解を深めたいと思う。
と、今日はここまで。