ふるさと納税から見えること

2月25日です。毎日が、飛ぶようにすぎますね、早いな~。
水野裕識(みずのひろのり)です。

東京マラソンで、都内は大幅な交通規制が行われていますね。
肌寒いなか、ランナーの皆さん、頑張ってください。

このブログも少しさぼるとすぐに3か月近く経ってしまいました。
今日は、何を書きましょう。

ふるさと納税は、その後どう進んでいるのか、ざっとしたところを共有します。
ちょうど1年前にもブログにのせていましたね。

出典 http://www.soumu.go.jp/main_content/000493819.pdf

 

住民税が、1兆2000億円だそうですが、そのうち1/4がふるさと納税に回っています。これは、キャズムを超えたとみえるので、一般に浸透しているようですね。

上位20位自治体のリストです。
都城市、お世話になってます。こちらの肉は、食べ盛りの子供がいる家庭には、もってこいですね。
それぞれのご自宅の実情、興味に応じて、いろいろな物品が提供してあるので、楽しめます。

つぎは、私のほうで計算をしてみたのですが、この上位20自治体の地方交付税とふるさと納税の比較です。

まず、市区・町・村の定義から。ざっくりと、市区は5万人以上、町は5千以上、住んでいるひとがいることです。みなさん、知ってました、この定義。村にいたっては、数定義はないそうです。市区と町は、10倍違うのですね。東京人口930万人と思うと、市区とは200倍、町とは2000倍も違っています。こんなにも違うもんなのだなあ。

総額枠で見るのではなくて、ひとり頭で考えるほうが、中身が見えてくると思いました。

地方交付税よりも、2~4倍もふるさと納税を集めている地域があるということです。
焼津市、都農町、上峰町、泉佐野市、国東市は、かなり恩恵にあずかっているのです。

ふるさと納税は、ゼロサムゲームです。人口の多いエリアの自治体に支払われるはずのお金が地方に回るので、地方にとってはありがたい施策ですが、都会の自治体にはありがた迷惑です。実際杉並区からは、待機児童施策ができないという不満もあがっています。

国は、地方交付税で分配しているのでその枠ないでやりなさいという話をずっと続けてきました。ここにきて、頑張る自治体には、さらに税金が廻って来ることを証明しました。小さな自治体であっても、取りまとめる力と、情報発信力があれば、その努力が報われるということがわかったようです。企業の売上という視点でみると、それまでの売上が10億円しかなかったところに、翌年から売上が20,30億となるので、それはやってよかったとなっていると思います。

でも、ここに出てきた自治体は、TOP20です。
全国の自治体数は、1700程度です。まだ7,8割の自治体が何もできず、動けていない自治体も多くあるように思います。
ほかの自治体は、何をどうしたらよいものか、悩んでいるのではないかと思います。
ここをICTで支援するのは、意味をもつのではないでしょうか。

都城市の使い道例です。→ こちら
畜産業への手当もそうですが、子供たちの教育のためなど未来のために使われているようです。
海外との交流は、目をつぶりましょうか。

自治体側は、地元住民に良いサービスを提供することで、若者たちが地元を離れることなく、
地元に残り(あるいはI/Uターンが増し)、(そんな簡単ではないでしょうけども)
地域の人口が増える方向に向かっていけるとよいですね。

自治体が売上を生み出せるという発想は、交付税配布で縛られていたら出なかっただろうし、発想すらでなかっただろうと思います。
地方の自治体の努力が、実るかもしれないこの仕組みは、かなり良さそうです。
さらに、国民一人ひとりの行動パターンとつながっていて、私たちの行動が、まだ見ぬ人たちの支援になっていると思うと、
元気もでます。ひきつづき、ウォッチしていこうとおもいます。

国民の一人ひとりの小さな行動が、税の体制に影響を与えることができるという大きな実験であります。

今後もふるさと納税の仕組みが続くとすると、
自治体人数割に相当するように広く散らばるモデルになるのか(交付税に近づくのか)、
あるいは、頑張る自治体には、相応した額が集まるようになるのか、
さて、どちらでしょうか。

クリスマスイブですね

クリスマスイブですね。ここから、年明けまでの時間の短さが、もうなんというか、一番早く感じます。

これからどうなる日本企業ということで、前回の記事に続き、もう1点気になる所を書いておきたいです。

ものづくりを代表する日本企業で、いろいろな不祥事が続いています。かなり問題だと思っており、どうなっていくのでしょう。
2015年に発覚した東芝。リーマンショック後、それでも利益を出し続けなければならない背負った経営陣が、利益水増しや数字操作を繰り返してしまいました。もちろん、2006円にウェスティングハウス社をあり得ない金額で買収をしたところに
、2011年の原発事故が起こってしまい、その後も工期の遅れなども重なって、7125憶円もの損失額を出してしまいました。

事業規模を縮小し、資産を切り売りを繰り返して、虎の子である半導体メモリの経営権を巡り、すったもんだしています。エアバッグのタカタが夏に事業を精算しました。この秋にかけて、日産自動車が無資格検査の発覚、神戸製鋼がデータを改ざん、三菱マテリアル子会社がデータ改ざんなど、次々と発覚しています。

世界に誇る日本企業のモノづくりは、一体どうしてしまったのでしょうか。いろいろな理由をつけて説明はなされているようですが、一番の心配は<<日本企業に対する信頼の喪失>>です。巨大企業の下には、多くの下請け企業がありますので、下請けへの影響含めるとその影響は、たいへん大きいです。日本の企業はどこに向おうとしているのでしょう。

百貨店を代表とする小売業界の売り上げは、9兆円7130憶円(1991年)から5兆9780億円(2016年)まで下がり続けています。アマゾンを筆頭とする通販サイトの躍進が思いつくところですが、ネット販売企業に持っていかれるのでしょうか。

多くの方が、店舗・モールで見た商品をネット検索して、一番安い所で購買することにも慣れました。翌日配送されるので、重たいものを持ち歩くこともなく、翌日には届く利便を受けています。店舗経費をのせた価格設定を消費者は賢く見抜いています。この日本で、給与水準は相変わらず右下がりのままで、物のシェアを行う会社が成長しているようです。人が使った中古品を嫌うということではなくて、むしろ積極的に生活に取り入れて、シーズンごとに物品を回転させて、物をできるだけ持たないようにする工夫がみられるようになりました。

少しずつですがシェア経済へ時代がシフトしていっているようです。テスラモーターのイーロンマスクが言うには、電気自動車の時代に入り、自動運転車が普通になると、車もシェアサービス商品になるそうです。あと数年で自動運転車が世の中に走るようになったら、運転手が職にあふれ、タクシー業界も大きく変化しそうです。
いまは2020年の東京オリンピックに向けてホテルは、建設ラッシュですが、民泊が普通になったときでも、(法規制などは別に)旅行者はこうしたホテルに泊まるでしょうか。

この1年は、シェアサービスの可能性がすこしずつ芽をだしてきたように思います。来年からさらに数年かけて、いろいろなものがシェアサービスに向かいそうです。消費者には選択できる範囲が拡がるので、たいへん良いことです。企業サイドは魔法が効かなくなり、サービスを提供できるプラットフォーム企業だけが有利な立場になるだけかもしれません。

付加価値のある製品づくり、良いモノを作り続ければ、世界が買い続けてくれるという古い頭では、たたかえない印象です。使われるシーンや利用者に近い所でコミュニケーションを図り、世界規模で利用されるプラットフォーム企業が大きく飛躍しそうな感じです。

さまざまなサービスの捉え方、提供の仕方そのものが、非常に速いスピードで、破壊的に変わってしまう時代になりました。今年もいろいろと考えさせられる一年でした。
ちなみに、年賀状の発行枚数は2000年代44億枚から、2017年には25億枚になりました、ここにも時代の様相が見え隠れしていると思ってみています。変わらなければ、取り換えられてしまうことで、肝に銘じたいと思います。

富山県利賀村で鈴木忠志さんの「世界の果てからこんにちは」観劇

2017年、今年の夏もそろそろ終わりでしょうか。今週末、少々涼しい場所を訪問したのでその報告です。

毎年開催してきた世界演劇祭利賀フェスティバル(SCOTサマー・シーズン2017)に参加した。なぜ、わざわざ富山県の山奥まで、観劇に出向いたかというと、前のブログで紹介をさせてもらった水野和夫さんの著書で紹介(P.254頁あたり)があったからです。「日本がお亡くなりになった」というシーンみたさと、これからは日本がとうの昔に亡くしてしまった「愛・美・真」の3つが、鈴木演劇のあるということを、確認したかった。

観劇場前、日本家屋の感じ

 

利賀村は、富山駅から車で2時間、人口400名もいない中山間地。鈴木忠志さんは現77歳、この地に41歳で移り住んで、現在まで世界に向けた演劇をこの利賀村から発信し続けてきた。観劇の前に、鈴木さんからなぜこの演劇を作ったかの説明があり、軽妙、ユーモアの交じった語り口のなかに、日本が失ってしまったものがあり、今一度それを各自の頭で考えてみてくださいという言葉が響いた。

野外劇場、公演前

いざはじまると1時間程度の舞台ではあるものの、シーンが非連続に現れては消える。日本人が失ってしまったもの、過去に置き忘れてきたものが、本当にそれでいいのかと問いかけてくる感じがする。そもそも日本の心象とはと語りかけたとしても、それは時代とともに変化するものであり、政治、経済、文化、さらにグローバル化した現在が、昔と違うのは必然である。

花火が演出を盛り上げる、幻想的、優美な感じ

ここにも説明があるように、日本人共有のアイデンティティなどそもそもなかったわけである。戦争の前後に大きな分断があり、何が継続すべきかの議論がないまま、今日、その場限りの不安点な心情を、日本人が持ってしまっているとすると、それも日本の今を覆う空気感なのだとも思う。

祭りあとの灯り

高校の頃から、私も観劇は好きで、さまざまな劇を観てきたものです。会場には、若い方から年配の方まで、幅広い年代の方に愛されているようでした。若い方たちを考慮されてか、鈴木演劇は、対価を求めないそうです、ただ、志を投函する箱はあります。これも、チャレンジですね。商業性になびかず、自分のやりたいことを、やりたいように行ってこられた鈴木さんのパワーなのだと思いました。現在では、富山県や文化庁の後援を受けているようで、今回も世界各国からのテレビ取材もあり、外国の方も多かったです。再来年(2019夏)が、何かのタイミングで一段と盛り上がるようにしたいと仰っていました。また機会をみて参加します。

利賀村から夕陽

観光情報学

今年のゴールデンウィーク、穏やかに過ぎ去ろうとしている。北朝鮮と米国の丁々発止がいまだ続いているなか、何事もおこることなく日々過ごせているのは、たいへんにありがたい。

今後の展開や、いろいろなお客様への対応を練るには、どうしても、まとまった時間が必要であり、GWのような長期のお休みは、誠に貴重である。普段いかないような場所を訪問し、調査を実施し、人への相談・交わり、さまざまな書籍・文献にあたるなど、いろいろな思考を巡らせて、次の活動への充電をおこなうようにしている。

明日からまたお客様のための活動に時間を割くこととなるが、鋭気を養い、感覚も研ぎ澄ましながら、明日からの対応に精を出したいものだ。

このGWのかなり時間を割いたのは、観光分野の情報学分野。いろいろと調べた。2000万人を超える訪日外国人はいったいどのような人たちが、どこに滞在をして、何をどう見ているのかについて調べた。たとえば、写真投稿サイトであるFlickrの写真は、GPSと一緒に投稿される。この写真投稿について分析した資料を見て、訪日外人の回遊状態が分かるようだ。

経産省が提供する地域経済分析サイト(RESAS)と、たとえばFlickrの掛け算による分析結果は、場所への滞留時間、移動のパターンなどを明らかにできると予想する。浅草近辺で、写真撮影スポットがどこに集中しているのか、その理由はなぜか。札幌時計台・横浜大観覧車が、もっとも撮影される時間はいつかなど、興味深い結果を知ることができた。

多くの外国人がその行動をとる理由に想像し、新しい観光資源をどう伝えたら効果的だろう、その観光資源を事前にどう認知させたりできるかまでも考えが及ぶ。訪日前のネット調査はおもに観光サイトを通して目に触れていて、来日後は、様々な観光情報マップを手にしながら、手探りで情報を集めているように見える。

浅草を訪れる日本人は年間4000万人、外国人数は500万人で一人あたりの消費額6000円弱。浅草界隈だけで2700億円の消費がある。仲見世通りのお店は、売れに売れて仕方なかろう。

日本全体での統計数字はこちらから見て取れる。訪日外国人消費動向(H29.3.31)年4兆円弱が消費されている。この数字を、海外からの直接投資とみなせば、おもてなし観光は、たいへん大きな投資産業である。今後4000万人を超える目標設定がなされているので、この数字はさらに増していくだろう、単純計算で8兆円にもなる。

当然ながら、海外からの観光者を地方にお連れして、その経済、地域の観光資源に振りむけていくことができないものかと考えている。地域から何か新しいことをという発想も大事だとは思うが、外からくる一時的な旅行者を受け止めて、長く滞在をしてもらうという発想で地域の活性化を捉えなおしてみてはいかがだろうか。地方飛行場の発着整備、交通ルートの作成、長期滞在に向けた観光地資源の見直しなど、いろいろな発想が出てくるのではないか。

ふるさと納税について

ふるさと納税が年々盛んになっているという。東京都のケースは、2017年は208億が地方に回っているということらしい。本来居住地区、住んでいる場所への納税であるべきものが、見返り品欲しさが先行する形になっていると区長が不満を伝えている。

ふるさと納税が行われた東京都23区のうち、世田谷区30億、港区23億、渋谷区14億だそうだ。逆に、ふるさと納税による税収が増えたのは、宮崎県都城市42億(人口16万人、+2.6万円/人)、静岡県焼津市38億(人口14万人、+2.7万円/人)、山形県天童市32億(人口6万人、+5.3万円/人)となっている。

そもそも、この構想は、平成 18 年 福井県知事の「故郷寄附金控除」 導入提案から始まったようである。地方で育った子供らが、成人になると、都市部に移動し、退職後は地方に変えるというある意味矛盾した状態に一石を投じたのだろう。その後通常国会を経て法律となり、平成20年に取り組みが開始された。本来は、居住地区の行政サービスからの受益者負担が原則のはずであるが、都市部から地方へ税が還流されるようになり、今度は都市部の長が、クレイムをつけはじめたようにも見える。

では、住民税の総額は一体いくらであろうか。総務省サイトから、1兆2000億円とわかる。まだ総額の1.7%しかふるさと納税は利用されてないわけである。(集計中とのことであるが、2015年度1653億円、2016年度は3000億を超えるという予想が出ていることから住民税25%に及ぶ。これはキャズム16%を越えたとみえるので、2017,2018年に大きな流れを作りだすことだろう。)大枠、都市部から地方への還流ということは間違いないわけで、今年はさらに勢いづくであろう。そもそも、都市部に移動した人口と、その遺失利益が計算できるならば、わざわざふるさと納税などというものを行う必要があったのだろうか。交付税の見直しなどで十分対応できたのではないかとも思える。

そもそも人ひとり成人が生きていくには年間どの程度かかるものか。都市部と地方では違っているとは思うが、最低でどのくらいあれば、生きていけるのか。子供の貧困度があがっているとも聞く、6人に一人の子供が貧困だとも言われる。地域や年齢によって、かかる費用は違ってくるだろうが、国家としてその程度のことは、当然ながら把握していないのだろうか。とある都市で暮らすのにかかる費用もわかっているのではないか。(話は飛ぶが、このような制度設計こそ、人工知能に行わせたほうがよっぽと良い解答を導くのではないだろうかとも考える。)

そもそも、育てたひとが都市部に移動した本来得られるはずの税が遺失しているという主張であるならば、人口動態をきちんと把握したうえで制度設計をするべきとも思う。数年前に突如として現れた制度が、このような基礎的な検討もないまま進めているのだとすると、ほころびは意外にも早く出てくる可能性があろう。

ふるさと納税をこのまま推し進めるのであれば、地方の何らかの指数・指標が数字で表されていて、分かりやすい形で、この地方を助けるべきだというのが分かるようになっていれば、その地域を全国の人で手助けをするということはできないものだろうかとも思う。