マーケットアウトの発想力

単にハード・設備を販売する方法から、継続的なサービスを使ってもらうことで、売上(利益)を上げる手法にシフトしてきている。

ハード単価が急速に下がるなかで、粗利は圧迫され、ハードの機能を開発したり、性能の強化(高速化、大容量化)してみても、デフレ化の販売価格は、上昇余地は残されていない。オープン価格で出しても、インターネットのロボットによって、日々もっとも安価な商品を提供するショップ価格を日々探しだされて、消費者は下値探しをいとも簡単に済ませてしまう。

もう、オープン価格で対応するも問屋も思ったほど抜けなくなってしまった。上位の製造社は、利用料に応じた課金が採用するという戦略しか取りえない状態になった。

対C向けだと、スマホの通信料金、プリンターのトナー(コピー機カウント課金)、ネット証券の手数料、1曲課金(itunes)など、対Bだと銀行ATMの保守、エレベータ監視サービスなど、あらゆる分野で、ランニングで継続に課金するビジネス・モデルに移っている。

ITの開発現場では、技術者の派遣するモデルで成り立っている。このビジネスは技術者を、開発現場に送り込み、毎月一定額をお支払い頂くモデルであるが、これも人を仲介にした継続課金モデルである。人あたりの年間売上が決まるので、売上見込みが読めるようになる一方、ソフトウエアの開発は、中国やアジア諸国でも対応は可能であるため、開発金額は、アジア諸国の人件費に少しずつ収斂されてしまい、単価の伸びを期待すべくもない。

安く開発コストを下げるために、ソフトウエアの開発現場も、アジアに開発拠点を移し、現地の労働者を採用して、教育訓練を行なって、日本品質に近づけられるように工夫している。アジアの拠点では、その国の上位理工系大学卒が、8時間労働の3勤交代でシフトを回しているという話もあって、こ開発金額は日本で行う場合の半分以下で済むという。

いまの日本の技術者・開発者では、とくにアジアのエンジニア単価とは、最初から見合っていない場合もあり、日本の技術者には、とても厳しい現実を突きつけているように思う。良い製品を作りだすために、目新しい機能の開発に、海外の優秀な技術者を安価に作らせるも、製品単価を跳ね返させることができないジレンマもある。新機能も、大規模化すると、作りあげるまでには、様々な工程があって、そう簡単にできないものだから、当初の予定より計画も投下資金も大きく超過してしまったりするケースが増えている。さらに、メーカーのマーケティンが機能しておらず、そもそもエンド消費者が必要としない新機能であったりすると、しんどさは増すばかりとなる。

製品や商品を使ったサービスを提供する間に、ランニングで売上が立つモデルを構築することができるかどうか。中小企業も同じだと思うが、いかにマーケットに受け入れられるサービスを提供し、それを強化できるかで、ビジネスとしての価値が決まる。とくに、いまの電機産業の状況を見ていると、大企業もその下請けも、新機能を創出するマーケティング力がそもそもなくて、つぎはこのあたりという延長線的な発想でモノを作っているのではないか。

今見えている市場の先にあるまだ見えていない新しい市場を見つけだす能力がビジネスマンに求められている。供給サイドが読もうとしても、そもそも見えていないもの。読み切れないその先にある何かを発想しないといけない。作れば売れるの時代はとっくに過ぎ去り、供給者側の論理は通じなくなってしまった。顧客目線から徹底的に発想をしたマーケットアウトの製品・商品を作り出せるかどうかが鍵である。

 

 

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