厚労省の賃金構造基本統計調査

各国の一人あたりのGDPを比較して、日本が先進諸国のなかで低いポジションにあることが分かった。
一人あたりのGDP=得られる成果/投入資源から、1)新産業が沸き起こり、2)少ない資源で、稼ぎ出すことができることが求められる。
時短にも何種類かの時短がありそうだ。カイゼン・カイリョウは、お得意の芸であるが、単なる従来から繰り返される作業の効率化だけでの作業する時間を短くするだけの話ではなかろう。

他国が真似をしずらい新産業をどうやって起こすのかが、必要である。その新産業がグローバル単位で稼ぎ出すモデルになっており、その産業に人が配置されるのだが、少ない時間でというよりも、経営者なら、そもそも人をいかに配置せず、稼ぎだせるかを考えるだろう。(グーグルの検索エンジン広告、アマゾン社の単純労働作業の撤廃など)、新産業論の深堀は、これ以上考察しない、別の機会に譲ることにしたい。

議論をもとに戻そう。まずは、この一人あたりのGDPが高くすることが必要だ。その結果、一人あたりの賃金も高くなる。その前に、今の日本の現状を知る必要があると考え、厚労省サイトにその情報を見つけた。

毎年厚労省は、日本全国の賃金構造を分析しており、その内容は「賃金構造基本統計調査」として発表している。

賃金構造基本統計調査

※ここから4つの図を表すが、それはすべて厚労省サイト内にあるPDFからの抜粋であり、詳しくはそのPDFをお読みになることをお勧めしたい。

今回は、このデータをみてみたい。今の日本の労働者の問題が見えるかもしれない。これらのグラフは、マクロな統計結果であり、個々人の男性・女性の話ではないことも理解したうえで、日本の労働者の賃金構造を見たい。

男女ともに賃金ピークが50~54歳にある。人が稼ぎ出す年齢は50歳前後に設定されているようだ。子供の教育費(大学費用負担)がかかる55歳前後にピークが設定されることもうなずける。ただし、この額の大きさは、ここでは言及しない。日本男性は55歳前に賃金ピークとなるように設定されているという事実。

女性の賃金推移が、ほぼ寝ていることにも注目したい。男性と同じように働いても同額になっていない。これまでの働き方がそのまま反映されており、男性と女性が同じにできるかどうか、どのように実現していくかである。次に企業規模に応じた、年齢階級別賃金である。大企業と中小企業との開きなどをいちいち説明するまでもないが、20歳から50歳までの賃金は、年齢に比例して賃金は右方上がりとなっている。

この上昇カーブをエクセルで計算をしてみたところ、大企業で毎年1.05万上昇し、中企業では6860円、小企業では4400円上がっている。月単位の成長と思うと、大企業では毎月875円、中企業では572円、小企業では367円である。生産労働人口における平均だろうから、これからどの位ずれているかで、全国他社からみた自分のポジションを理解できるだろう。

次に、産業業種別に見た時の賃金カープである。男性は金融・保険の業種の伸びが一番大きいようだ。ただし、50歳から下がり方も注目したい。59歳までに、教育学習支援業、医療福祉部門に追い抜かれる。この理由は私もよくわからないが、マクロではそうなのだろう。2割の人が就く製造業はなんともぱっとしない。50歳から60歳まで横ばいで、その後急激に落ち込む。国民の6割が従事しているサービス産業の賃金の伸びも少ないし、フラットな印象をうける。一番従事している人の多いこのサービス産業が、はたして効率化できるのだろうか。

そこで思うのは、別の手段(ロボット・AI)に任せて、これらの人を違う産業にシフトさせることができるとしたら、賃金の底上げができるのかもしれない。サービス業は人へのサービスに占める割合が大きいので、人と見まごうごとくのレベルのロボットである必要があるのではないか。アマゾンアレクサのように音声応答の能力だけを飛躍的に高めることでサービスを提供するかもしれない。コールセンター業務は相当するだろう。

最後に正規と非正規である。非正規という職が、ある時期から突然現れたことを記憶している。今現在での非正規の方は、全体40%を超えている。選んで非正規の方と、想定外の非正規では、ずいぶん人生は違ってきそうだ。

厚労省からの統計的な事実だけから、分かることを上げた。

もう一度振り返ると、一人ひとりの所得を増やすには、一人あたりGDPを上げることが必要。他先進諸国が真似のできない新産業が生まれ、人がその産業に入っていける循環をつくりだすと頭ではわかる。しかし、いざその新産業とは何かもすぐにわかっていない。時短のための効率化に向けたICT投資は、企業の各種経費削減になるだろうが、それが増収に直結するとも思えず、難しい課題である。ARPANET がパケット交換の論文を出した1960年から、インターネットが1990年に成長がはじまるまで、30年要している。たとえば、2000年初めから研究が進んだiPS医療は、どのくらいで産業化するだろうか。日本でしか対応できない仕事を生み、世界から稼ぎ出す新産業に育ってほしいものである。

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