ええ、デフレの原因は、ITにあるという話がある。

機械との競争を読みました。

古き佳き高度経済成長の終り頃までは、いまの時代と比較して、労働者は余分な作業を、時間をかけて、仕事をしていた。携帯電話(当時は回転式黒電話)もメール(郵便)もコピー機、ファックスもない。もちろんその時代にタイムスリップしたら、仕事の進め方に非効率さに驚くだろうし、いまのような事務器具がないという前提では、必然時間もかかっていただろう。自分の父親を振り返ってみたら、いまのように週休2日もなくて、土曜日はまず会社に出かけていて、日曜日もいなかったことを、子供ながらに記憶している。情報の伝達スピードが、それこそいまと比べて、ゆっくりであったことはわかる。結果として仕事を進めるスピードも遅くなっていた。

無駄を廃して節約とコスト削減に努めよという号令のもと、社内のコストを削減するには、ITを活用せよということで、職場にどんどんコンピュータが入り込んできた。そして、単純作業のスタッフは機械に置き換わり、伝票処理の事務スタッフ作業は、コンピュータの電子ファイル化作業に置き換わっっていった。デジタル機械装置は、どんどん人の労働者から仕事を奪っていった。

そもそも機械に置き換わる程度の仕事しか出来ない人でしょうと切り捨ててしまっては、身も蓋ないわけだが、いろいろと考えてみると、そう単純な話ではなさそうである。コスト削減の大号令のもと、それが企業のあるべき方向であると実行した結果、企業の生産性は上昇し、利益を上げやすい方向にむかった、(企業には有り難い話)、雇われる人にとっては、受難そのものである。効率化がすすむほど、仕事の進むスピードは増すようになり、また複数のプロジェクトを受け持たなければならなくなっていった。その結果、担当する作業スピードに依存するようになり、ときには担当者の作業スピードがそのままネックとなってしまった。
まだまだ、コスト削減の呪縛は続く。派遣法の改正もあって、企業は正社員ではなくて、派遣社員を積極的に活用するようになった。高い人件費をかけて社内で実行するよりも、外注したほうが安い場合には、どんどん外部リソースを活用するようになっていた。また、円高の為替に引きずられるように、生産工場もどんどんアジア諸国の低廉な場所に移っていっていった。その結果、みなの働き場所は、どんどんシュリンクしてしまった。

その結果が、いまの日本のデフレ状態である。デフレのなかの日本は、かれこれ25年ほど続いてしまった。2013年春に、第1、第2、第3の矢を放って、この流れに楔(くさび)を打ち込んだという。ニュースでは見るものの、実感として伝わっているかたは少ないのではないでしょうか。

ということで、まだまだ時間が必要そうです。なにしろ25年もの長期間、そういう状態だったのですから。ということで、今日もコツコツとお仕事頑張ります。

 

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