できるとするは大きな違いがある

こんなことができました、◯◯ができましたと、担当者はおっしゃるが、できましたの先に誰にそれを買ってもらうのか、そのためのマーケティング・PR はどうお考えですかと尋ねると、まあ、良いものができたからなんとかなるでしょうと楽観的だったりする。

もっというと、できたんだから、売れるに決っているとおっしゃる。誰かに評価をしてもらいましたかと質問すると、身内に数名とおっしゃる。たしかに、できるようになったことは、技術力に優れているのかもしれないが、それだけのことで、買って頂くまでに距離がありすぎるのではないだろうか。

値付けは、どうするのだろう。問屋さんに流すならば、最低でも40%は渡さなければならないだろう。月産数百個なら家内工業でもと思うが、数千個、数万個はけるとしたら、在庫切れをおこす可能性は大丈夫なのだろうか。最初からそんなに売れないでしょうから大丈夫です、そんなに売れたら御の字ですから、その時に考えましょう。

テレビで目にする☓☓化粧水、1本980円。雰囲気のよい、心地良いCMが繰り返し流される。巨大メディアを通して、消費者への商品の接触回数を増やしている。だいたい7回視認されると記憶に残るとされる。原価はおそらくその10%程度、販路に40-50%、マーケ費用に20-30%、粗利は5-10%残ればよい。あとは数に従って、売上と利益が残る。

消費者の立場からすると、1本100円程度で作り出せるものが、その10倍で購入させられていることになる。だから、ネット直販にすることで、さらに販価を下げる。良いものを安く作れるようになる、さらに販売数量が伸びるというような単純計算。しかし問屋を通さないで数量をさばけるほど、甘い世界ではない。そのような行動は、長い目でみると逆に首を締める。

良い商品ができましたから、良い商品を買ってもらうまでの距離はものすごく大きな谷が存在している。谷を埋めるために、メーカ各社は販路の流儀に従って、対応を続けている。そこにネットが横から割り込んできた。eコマースの伸び、物流量の伸びは、右肩あがりで、面白い時代ではある。

商品を作り出し、販売をして利益を取る、さらにその商品の販売数を伸ばすといううことの難しさを感じざるを得ないが、わたしどもはネット通販に立ち位置を取っている。新製品などのマーケティング確認には、全国を販売網と思って、ネットでの販売を進めている。製品フィードバックも含めて確認できることも利点だろう。

 

古森重隆氏の『魂の経営』を拝読

先輩経営者から水野くんも読んだらいいよということで1冊お渡し頂いた。
富士フィルムHD会長CEOである古森重隆氏がお書きになった『魂の経営』を読み終えた。フィルム事業で高成長に陰りが見えてきたときに、躊躇することなく経営の舵取りをされるその様がリアルに描かれている。7万人の社員を守ると決断されて、その意識たるや半端ではない。フィルムメーカから化粧品事業、医薬品分野を立ちあげるまでの経緯もたいへんリアルに描かれている。

ここの描かれている事業変化への処し方を、中小企業がそのまま使えるものではないだろうが、心がまえの部分についてはおおいに学ぶところが大きい。

3章で語る内容には、1、読む 2構想する 3伝える 4実行するということをしっかりと行うこととある。『リーダはやると決めたら、俺に任せてくれと使命感を持って指揮し、組織を勝利に導くために行動するのみ。』『悠長に民主的に議論をしている場合出ないのだ』

流れを読み、現状を認識し、未来を予測する。今後どうなるのか、何が起きようとしているのかの流れを読むということらしい。読みが的確であるほど、そのリーダの優劣になるとのこと。読みは綿密なシミュレーションをもとに行ったとある。

幅広い見識があり、大局観をもって、先を読む、さらに、物凄い胆力も備わった方だと改めて敬服する。そばにおいて、何度も何度も読み返しておきたい一冊だと思いました。

4月6日日曜日、東京は小雨。今朝、さくら道をランニングをしてきたが、そろそろサクラも散りゆき、葉桜になっていた。こうしている間にも時間は刻む。私ができることを少しでも前に進めようと思う。事務所にて

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