Oura活動量からU分布(METS値)を意味を理解してみる

2024年初夏、今年も暑くなりそうですね。水野裕識(みずのひろのり)です。

1日の身体運動の分布は、U分布に従うことを、矢野さんは示された。

Ouraリングの活動量を使って、このU分布に従うかどうかを確認してみたい。約半年間の行動タペストリーを表示する。これは1分単位のMETS値の塊となっている。

MET値のグラフ表現

MET値のグラフ表現

人の行動は、活動的な人でもそうでない人でも、U分布に律速されるということであった。この行動タペストリーから、MET値の出現確率を求めて、横軸METS、縦軸に対数として表現した。これは、U分布に見えるのだが、いかがだろう。

MET値と出現確率の月別グラフ ほぼU分布

MET値と出現確率の月別グラフ ほぼU分布

普通の生活をしていて、激しい動きをし続けるなんてことはないわけだから、高いMET値が多く出てくることは想像してない。15以上METSが急に垂れるのはそういうことだ。月別に表示しているが、どの月も馬の背中からしっぽのようなグラフになっている。

運動強度とエネルギ消費量

テレビを座ってみることや車に乗ることは1.0メッツ、座って会話や食事、デスクワークは1.5メッツ、料理や洗濯、着替え、洗面、シャワー、家の中を歩くなどは2.0メッツ、ウォーキングや掃除は3.0メッツ

日常生活においては、この程度の動作がほとんどを占めるのだろう。2.5メッツぐらいまでを拡大してみる。

MET値と出現確率の月別グラフ 2.5まで

MET値と出現確率の月別グラフ 2.5まで

1.1にガクンとする箇所がある(この左側は睡眠(約0.9METS)の横になった領域で、右側が日中の行動領域と思う)は、月別のラインはほぼ近い曲線を描いている。2月3月4月の曲線が他の月を下回る。時に2月の曲線が一番下にあり、1以上のMETSの動きが制約を受けている。

これは何を意味するのか?本人に尋ねると、2-4月は開発への対応が大変だったらしく、椅子に座り続けた生活であったそうだ。つまり、椅子に座り続けることは、高いMETSは、ほぼ現れにくい状態であったということになる。

5月に少し解放されて、6月はほぼ解放されたという表現からも、水色(6月)のMETS値が一番上にきている。このことは、身体の動作にも表れて、このグラフの結果が得られていると思う。

この直線やカーブを一人ひとりの動きの個性と捉え、動きの平均や分散から逸脱していたら、それに意味を与えることができるのだと思う。行動障害(鬱)になると行動が非常にゆっくりとしてしまうから、データをみつづけてあげることで、行動分類に使えるのではないか。

つぎに、非活動時間を見てみよう。

月別 非活動累積時間

月別 非活動累積時間

4月(水色)が群を抜いて非活動時間が累積している。4月は椅子に座っている時間が非常に長かった生活と推測しえる。ついで2月3月も高く推移している。

一日の時間は誰もが24時間。そのうち、仕事時間が伸びれば、その他の生活時間を短くせざるを得ない。かつ、椅子に縛られている時間が長いということは、本来U分布に従うべき、様々な行動がとることができないわけであるから、自由度がない状態としてこの期間を過ごしたということになる。

この方の場合は、非活動時間が長く(仕事時間に比例すると考えられる)、その他の生活時間である睡眠時間への影響もあると思うが、その評価は次回検討してみようと思う。

今回はOuraで取れる1分単位の行動量から推定されるMET値が、U分布に従っていそうだと理解ができた。

 

Oura新機能 心血管年齢:脈波伝搬速度PMW 心肺機能:最大酸素摂取量VO2max

Ouraユーザーの皆さま

24年6月、Ouraからヘルスケアを見守る新しい指標が現れました。

昨年の15分刻みのストレス表示機能にも驚きましたが、今回はヘルスケアに関する大きな2つの機能となります。

新機能 その1 心血管年齢

PMW脈波伝搬速度 から、年齢に比例する、血管の硬さを推定します。

成人病が血管の炎症から生じることから、血管をしなやかに弾力性がある状態を維持できているかどうかを、推定できる指標として、ヘルスケア産業に新しい風が吹きそうです。

年齢枠より少しでも低い値をだしたいと誰もが願うことでしょうが、実際には加齢とともに、弾力を失って硬化してしまうのが現実でしょう。

それでも、長期の運動を継続して行うことにより、この速度を少しでも抑えることができるようです。

新機能 その2 心肺機能 

最大酸素摂取量 VO2max を推定します。6分間の歩行テストの結果として、この値を求めます。こちらも多くの酸素が体内に摂取できることで、少しでも加齢と向かい合いたいと思えるのではないでしょうか。

心肺機能はいつでも測定することができます。心血管年齢は過去14日間の結果として毎週更新して表示されます。

Oura Cardiovascular Age White Paper_BBJ翻訳.pdf

長い目でみると、この数値と向き合うことにより、年齢と比べても若い健康な状態が維持できることを目指しましょう。もしかすると、健康寿命を延ばせるかもしれません。Ouraユーザは、これまで睡眠スコアやコンディションスコアを高める訓練をしてきました。上手く眠りにつけるワザを身に着けることができました。ここからは心血管年齢を若くするような行動も取り入れていければと思います。

ヘルスケアに向けた長い旅に、一緒に出掛けましょう。