大手 パソコン事業部の方から、パソコンなど接触行動についてお話を受けしました。

朝起きて、寝るまでの行動パターンのなかで、どのくらいガジェットたちと接触をしているのだろうか。はじめてスマートフォンを手にした子供と、その母親たちの接触行動は違うだろうし、私のようにITを生業としているビジネスマンでも、大きく異なってくるだろう。

昨日、大手パソコン事業部の方から、パソコン、スマートフォンや日々の業務行動についてヒヤリングをうけました。朝から寝るまでの行動パターンについて、お話をするものでした。質問内容は、とても簡単なものでした。私自身の行動パターンそのものですから、あるがままにお話するようにしました。

あとから、聞きましたが、エスノグラフィという新しいマーケティング手法を取られておられるとのことで、本人でも気がついていない潜在ニーズを発見するという文脈や、ひとの活動の文脈を理解しようとするマーケティングアプローチなのだそうです。アップルがipadのような製品を生み出した背景も、この手法を取り入れられていたとのことです。

業務プロセスを変えていくためには、行動を正確にトラッキングして、観察をすることが最初のステップなのだそうです。私も質問をされる以上は的確な答えというものがあるのかと思って、最初は応対をしていたが、どうも正解は無くて良いのだと、しばらくして気づいた。いまのありのままの状態をお伝えすればすむのだと。そのなかから思いもよらない文脈(ストーリ)を見つけ出そうとする企業サイドの視点と理解。

失われた20年のように経済の閉塞感から抜けだして、イノベーティブな製品を作り出すためのアプローチとして、こうした行動に潜んだ潜在ニーズの堀りおこしや、文脈、ストーリ、仮説を組み立てようとする企業努力に、あらためて学びを得たし、そうして次の製品を創りだされるのだと理解ができました。

野村総研:エスノグラフィを活用した業務プロセス改革

電通マーケティング:生活者のストーリを描き出す、エスノグラフィ

博報堂:ビジネス・エスノグラフィーがイノベーティブな組織をつくる

 

慶応大SFCの設楽剛先生のセミナーを受けました。

セミナーはひき続いて、慶応大の設楽先生(設楽剛事務所 代表)のマーケティングセミナーになりました。

新しい潮流としてのマーケティングは、競争から協働へ向かっており、物語を語る(StoryTelling)ことを通して、人々(顧客)との価値観を形成していく方向性に向かうそうです。

長々と製品スペックの話をしていてもはじまりません。それも大切ですが、これからのマーケティングにはもっと大切なことがあるというお話。1950年頃、作って売るの時代でした。つぎに1990年頃には、感じ取って対応する時代に移行した。市場調査をして、つぎに作るべき製品を絞り込むマーケッターは、その頃の1つの手法ではあった。いまからは、顧客とともにということで、顧客との関係づくりを行い、一緒に関係を深める、進化するようになっていきますよというお話でした。

とても深いお話でしたので、理解を越えてしまう部分、ついていけていない部分もあったとは思いますが、すこしでも理解しえた部分を書きますね。

言葉の使い方で、実は、どの時代に所属しているかが分かるようです。『単一製品を販売するだけではない。売り込みという表現はしない。顧客の囲い込みという表現も使わない』ようです。如何に顧客を囲い込み、クロスセル・リピート化するかというマーケティングに、わたしも随分と毒されてきました。でもでもといいたくなる自分がいました。だって、ジェイ・エイブラハムのハイパワー・マーケティングも、こんな売り方があるのかと、なんと面白いと読みふけったが、こういう手法はもう通じないのかと少々不安になりました。

顧客がビジネスを支配する時代になっているのだから、顧客との関係づくりに徹したほうが良いらしい。まだ見ぬお客様との関係をつくるには、企業は『場を提供し、ファシリテーター』とセットになって、中立に顧客の体験をしてもらえるようにしていく方法が良いそうです。顧客との関係づくりによって、メンバーシップが生まれ、さらにコミュニティが形作られるようにしたら良いとおっしゃっていました。

反対の考えは、これまでの市場原理主義にもとづいた管理・競争社会だそうです。市場シェアを少しでもあげるための考え方、企業としての振る舞いを要求され、日々どうすれば競争相手から顧客を奪うか、そのために自社の製品・マーケはどうあるべきかという話ですね。別に、同じ土俵(レッド・オーシャン)で戦いあわなくてもいいんじゃないか、ブルーオーシャンに気づいてないだけでしょ、まだまだブルーシーはあるから、そこを目指そうよということで、やはりビジョンは大切みたいです。(ただ、私のような普通の人には、ビジョンを、なかなか語れないのですよね、とほほ)

お話をお伺いしている途中で、なぜか、頭のなかで、ダイソンのCMが流れだしました。上手く説明ができないのですが、ダイソンの手法は顧客との関係づくりが上手く、顧客体験をたったの15秒で説明しきっているので、パッと浮かんだのかもしれません。(しかし、あの女性の声は、印象に残る、、と思いませんか、ダイソンの新製品ヒータのテレビCM→視聴はこちらから(笑)) あと、ダイソンの定理→ここから

掃除機は皆、テクノロジーの限界で、フィルターが目詰まりし、
吸引力が息切れして、こんなにゴミを取り残していました。
ダイソンは違います。
15万Gもの遠心力で、ミクロのゴミまで分離するので、目詰まりもなく、吸引力は決して衰えません。
つまり、あなたのお部屋はどこまでもクリーン。
ダイソン。吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機。

 

『ひとと人との関係づくりは、長期にわたり、相互関係を形作り、相互信頼を醸成していくことで、脱競争から共進化していく』のでしょうね。エジプトなどのアラブの春に象徴される市民が独裁を倒していく様子も、何か通じ合うところがあるのかなと思いました。

そうはいいましても、競争原理に基づく競争販売手法も、まだまだ続いているというのも現実でしょうから、これからソーシャルメディアの発展などと相まって、『顧客とともに(Co-Learning)という考え方に、シフトする』のだろうと感じました。

たぶん、完全に理解できてはいないと思いますが、そのような世界に移行していくということで、私たちのような小企業でも、何か行動に移していけたらと思いました。

これからのマーケティングを学ぶ良い機会であり、貴重な場でした。ありがとうございます。

 

 

マーケットアウトの発想力

単にハード・設備を販売する方法から、継続的なサービスを使ってもらうことで、売上(利益)を上げる手法にシフトしてきている。

ハード単価が急速に下がるなかで、粗利は圧迫され、ハードの機能を開発したり、性能の強化(高速化、大容量化)してみても、デフレ化の販売価格は、上昇余地は残されていない。オープン価格で出しても、インターネットのロボットによって、日々もっとも安価な商品を提供するショップ価格を日々探しだされて、消費者は下値探しをいとも簡単に済ませてしまう。

もう、オープン価格で対応するも問屋も思ったほど抜けなくなってしまった。上位の製造社は、利用料に応じた課金が採用するという戦略しか取りえない状態になった。

対C向けだと、スマホの通信料金、プリンターのトナー(コピー機カウント課金)、ネット証券の手数料、1曲課金(itunes)など、対Bだと銀行ATMの保守、エレベータ監視サービスなど、あらゆる分野で、ランニングで継続に課金するビジネス・モデルに移っている。

ITの開発現場では、技術者の派遣するモデルで成り立っている。このビジネスは技術者を、開発現場に送り込み、毎月一定額をお支払い頂くモデルであるが、これも人を仲介にした継続課金モデルである。人あたりの年間売上が決まるので、売上見込みが読めるようになる一方、ソフトウエアの開発は、中国やアジア諸国でも対応は可能であるため、開発金額は、アジア諸国の人件費に少しずつ収斂されてしまい、単価の伸びを期待すべくもない。

安く開発コストを下げるために、ソフトウエアの開発現場も、アジアに開発拠点を移し、現地の労働者を採用して、教育訓練を行なって、日本品質に近づけられるように工夫している。アジアの拠点では、その国の上位理工系大学卒が、8時間労働の3勤交代でシフトを回しているという話もあって、こ開発金額は日本で行う場合の半分以下で済むという。

いまの日本の技術者・開発者では、とくにアジアのエンジニア単価とは、最初から見合っていない場合もあり、日本の技術者には、とても厳しい現実を突きつけているように思う。良い製品を作りだすために、目新しい機能の開発に、海外の優秀な技術者を安価に作らせるも、製品単価を跳ね返させることができないジレンマもある。新機能も、大規模化すると、作りあげるまでには、様々な工程があって、そう簡単にできないものだから、当初の予定より計画も投下資金も大きく超過してしまったりするケースが増えている。さらに、メーカーのマーケティンが機能しておらず、そもそもエンド消費者が必要としない新機能であったりすると、しんどさは増すばかりとなる。

製品や商品を使ったサービスを提供する間に、ランニングで売上が立つモデルを構築することができるかどうか。中小企業も同じだと思うが、いかにマーケットに受け入れられるサービスを提供し、それを強化できるかで、ビジネスとしての価値が決まる。とくに、いまの電機産業の状況を見ていると、大企業もその下請けも、新機能を創出するマーケティング力がそもそもなくて、つぎはこのあたりという延長線的な発想でモノを作っているのではないか。

今見えている市場の先にあるまだ見えていない新しい市場を見つけだす能力がビジネスマンに求められている。供給サイドが読もうとしても、そもそも見えていないもの。読み切れないその先にある何かを発想しないといけない。作れば売れるの時代はとっくに過ぎ去り、供給者側の論理は通じなくなってしまった。顧客目線から徹底的に発想をしたマーケットアウトの製品・商品を作り出せるかどうかが鍵である。