IoT×デザイン

モノは環境に依存して、そのデザインが決まる。傘が傘たる形を成す、そのデザインはどこから来たのか。世界中を見まわしても、傘のデザインはほぼ同じである。人の行為に、デザインは誘発されて、形を為すのだという研究領域がある。人や動物の主体を取り巻く環境に生かされる自分を環境とのインタラクションに置き換えて物事が決まるとされる。ギブソンのいう、知覚と行為が、環境の価値を引き出して、つぎなる行為をうみだす。

あなたが玄関の所に立つ。扉のところに丸い銀色の形をした棒状の突起物がある。自然に手が伸びる。接触して、質感が金属ぽく、銀色の丸みを帯びている。その手に平に納まるので、しっかりと握ったあとに、左方向に回転すると、玄関のトビラが開く。

なんてことは、ない。ドアノブである。ドアノブを見たときの人間の行動は、自然に誘発されるのである。その理由や説明は一切不要であるが、自然にこの行動をとってしまう。このデザインから発せられる信号をわたしたち人間は読み取り、理解をして、行動することができる。

それがデザインの持つ力ともいえる。そんなパワフルなデザインを持ったIoTを創り出せるとしたら、これは売れないわけがない。Apple社のデザインはパワフルである。人が惹きつけられる。知覚できる形に、行動が誘引されるように設計がなされている。まことに秀逸である。