『限界費用ゼロ社会<モノのインターネット>と共有型経済の台頭』を読んで

資本主義の先におきることを探る動きが出てきている。限界費用ゼロ社会を読んだ。長期の経済停滞の理由は、経済の市場の交換価値から、共同型コモンズをシェアする過程にあるからという話。

市場にものがあふれ、それをシェアして利用しあうようになれば、新たにモノを買う必要はない。IoTセンサ群の結果から機械装置の代価時期を見極める。無駄のない社会へ移行するとある。自動運転。MOOCのオンライン教育で無償化。人工知能・ロボットによる単純労働の置換。自然エネルギー利用へシフト。

いまだ、GDP右上がり信奉を信じ切っているが、実際は労働者の給与が右下がりである。3人に一人が60歳を超え、人口半減する日本。つい先日、政府がGDP600兆円にするという。2020年までにどうやってGDPを100兆も増やすのか、不思議である。

現状のサーベイ書として読むとそうだなと思うが、未来の方向性を提示している書ではないようだ。未来という灯台、灯りが欲しいんだが。読者は、それでどんなビジネスが起き、どう利益がもたらされるのかを知りたいはずなのに、なぜか、まだもやもやした感が残る。

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新事業を立ち上げるには 5

新事業の立上げには、あたりまえだが、先行投資が必要となる。その資金をどこから調達するか。研究開発という先に出ていく資金を賄うことは、一般には中小企業では難しいと思われる。利益が出ている範囲内で、立ち上げる能力を持ったひとを割り当てるのだろうが、その人の人件費と研究開発経費は、会社負担そのものである。だから、利益がない会社の新事業の立ち上げは困難なものとなる。

かりに、銀行からの借り入れで賄うとしても、かならず返済しなければならない資金であるため、経営者として、そのまま進めることが良いかどうかを、躊躇する。新事業は成功するかどうかも分からないのだから。かならず、あるいはほぼ成功するに違いないという場合に限り、それも小さく産み落とすように工夫しながら、マーケットとの対話、市場における他社の状況を、鑑みながら進めるよりない。

ならばどうするか。ある程度の投資ができる会社と一緒に対応することだ。できる限り、双方の負担を小さくしながら、成功に向かうような動き方をとることで、確率は大きく高まるだろう。一般には、提携などない会社と、はたして協業ができるだろうかと考える古い考えも、まだまだ根強く残っている日本社会ではある。(日本人同士がせこくまとまってどうするよ)

中小企業の新規事業の戦略としては、はじめからマーケットと対話ができる、ある規模以上の会社と組んだほうが良いだろう。その規模の会社からすると、中小企業と組むことは、決断するスピードを早めることになり、立ち上げるスピードが上がってくる、さらに、次々と起こる課題にたいして、小刻みに合わせられるようになるだろう。手元でおきる小さな課題を、次々とつぶしながら、前に前に進めていけるようになり、結果としてマーケットとの対話であったり、市場に現れる製品群との比較によって、競争優位な立ち位置に立つことができる。結果として、成功確率が高まると予想できる。