機械学習の課題

機械学習における静止画の識別は、人の能力を超えた分類をするようになった。2010年ころからの話なので、5年程度の時間で達成されたことになる。

将棋のプロ棋士を打ち破り、頂上決戦を期待したが、計算機の性能向上の観点から、おそらく実力が上回ることが確定したのか、決戦はおこなわれていない。

そうこうして、2016年春に囲碁の世界で、トップ韓国人棋士と対決が行われることになった。計算機が4勝、プロは1勝という結果となった。結果もさることながら、この時間軸の前倒し感に驚くばかりだ。囲碁の探索空間は、将棋盤面の比ではない。チェスは10の120乗、将棋は10の220乗、囲碁は10の360乗といわれる。チェスは1997年にディープブルーがやぶり、将棋は2013年にプロが敗れた、そのあとたった数年で囲碁プロが敗れた。囲碁は10年はかかるという見通しであったにもかかわらずである。

計算機の速度向上と、機械学習、おそるべし。

医療分野の画像診断でも、肺がんなど医師でも見つけにくい領域を探してだしてくるようになった。ここ数日のニュースでは、大量の判例を覚えている計算機ROSSが弁護士のアシスタント作業をこなす。

[browser-shot url=”http://www.huffingtonpost.jp/2016/05/15/ai-lawyer_n_9977402.html” width=”400″ height=”300″ alt=”人工知能弁護士ROSS”]人工知能弁護士ROSS[/browser-shot]

ただ、まだまだ改良の余地がある。時間軸の扱いについてである。動画をミリセカンド、ナノセカンド秒単位の静止画として扱うと、現在の計算機ではそのデータ量をそのまま扱うことができないのではないか。問題の設定にもよると思うが、時系列データ・波形データを、データ構造を明示することなく、計算機に入力して、精度よく出力を得られる数学的なモデルが出て、計算機に実装されたとき、いよいよ真に人にとって、有効なサービスが次々と生み出されてくると思う。

動画のなかから瞬時に特徴点を自動で発見したり、音声データからの特徴検出などもいとも簡単に行われるようになり、うまく活用することが、人間側として求められるのだろう。

いずれにしても日々進化していくこの業界、追いつくだけでも大変である。世界中の優秀な人間がしのぎを削っているわけであり、いずれ73億人のたったの1億人しか日本人はいないのだから。