ITサービスを作るときに、シーズかニーズか、どちら側のサービスなのか最初に考える必要がある。シーズ指向のサービスは、技術者が自分がコントロールできる技術をもとに組み上げる傾向が強い。ニーズ指向サービスは、現場のこうしたい、ああしたいの発散した要望そのものを大きく捉えてシステムに落としこむ。一般にシーズ型のサービスは、技術者にはウケても、世の中広くに使われないということに、陥りがちである。スマホ・タブレットがこれだけ普及してきた今は、まさに現場のニーズを如何に組みとれるかにかかっている。
現場のニーズを拾いあげるには、いま現場で起きている事象を、まず身をもって知る必要がある。現場で様々な関係者にヒヤリングを行い、丁寧に課題を洗い出すという作業が求められる。地道ともいえるこの現場指向の対面深堀り作業を行うことができるかが、最終的に使えるITサービスへの近道といえる。開発の手前の手前、詳細設計や要件定義よりもさらに前の話であり、そもそもの現場の課題発見とその整理をいかにつけるかが問われている。
これまでのITサービスはどちらかと言えば、技術者がこんなことも、あんなこともできますというどちらかと言うと、押し付けがましい印象を与えるものが多かったのではないだろうか。高度な技術ならば技術者主導であるべきだと思うが、一般の市民に使える(使って頂く)サービスを実現するには、一般市民の声に耳を傾けて、主導すべきだというのはその通りだと思う。
いま福島の浪江町のタブレットの新サービスを、地元住民と一緒に考えて、一緒に作るプロジェクトがはじまった。
『Code for Namie』というプロジェクトである。
地元が望む情報サービスを、地元一緒に考えてつくり上げる。そのコードは広く公開をして、再利用を図るという。新しいITサービスの作り方として注目したいし、その内容にも期待してみたい。市民参加型の新しいITサービスの作り込みとして、私も気にかけたい内容である。